三菱一号館美術館で9月19日まで開催中のジュリア・マーガレット・キャメロン展、ブロガー内覧会に行ってきました。
ソフトフォーカスで柔らかい画面の、絵画的に作られた写真。きれいだけどこういうイメージの写真ってありがちよね。みたいな印象を持ってました。見に行って解説聞いてキャプション読むまでは。
見に行って知ったのですが、キャメロンが1863年に48歳でカメラを手に入れてから十数年の間の作品なんです。
そして1863年のカメラって、コロディオン湿式という、ガラス板に薬品をいくつも使う化学実験というか錬金術のようなもの、もちろん光源はほぼ太陽光線、大きな蛇腹式のカメラで、屋外の撮影は暗室テントも一緒に移動するという大掛かりなものだったそうです。
モデルの絵画的なポーズも、動かずにじっとしていなければならないのだから大変。
そんなお金も時間も手間も体力も必要な写真という表現方法を、ほぼ独学で模索した女性写真家です。
手をかけてイメージ通りの写真を作ることを楽しんでいたんじゃないかなと思います。
上流階級の文化的な環境の奥様ではあったそうですが、お金持ちの趣味では片付けられないとんでもないバイタリティーと表現力だと思いました。
カメラが発明されてから20年ほどという時代で、その時代の写真は記録や報道的なしっかりピントのあったものが主流で、キャメロンの絵画的で文学作品を元にした手の込んだ「作り物」の写真は批判されたりもしたそうです。
そんな時代にそんな人がいたという驚きと興味でたいへん面白く観ました。
私は普段展覧会のキャプションはほとんど読まないんですが、この展覧会はしっかり読みました。
あと、後年影響を受けた写真家として最後に展示してあったサリー・マンという現代の写真家の作品がとても印象的で、どこかでまとまった展示があったら見たいなと期待しています。近代美術館に所蔵されてるらしいんですが。
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